E娘からE女へ

 正直行こうかどうか、その前に応募するかも迷っていたが、結果的には行って良かったと思う。そこには卒業発表がなかった安堵や、復帰した今の決意を語る彼女を観られたことのうれしさなど理由がそれなりにある。AKB選抜に抜擢されたりP4Uで結果を残した2018年とは言ってしまえば正反対の2019年であった。僕自身は彼女から見て“出来の良い”オタクではないので休養の時期はKⅡや研究生にシフトしたり、名古屋から少しばかり西にモチベーションをやったりしていた。9月の愛知個別では全握券を握りしめて一度レーンに赴いたけれど、復帰とは名ばかりだと思わざるを得なかった。別に叩く気があるわけではなく、むしろそれがあたりまえだと思った。少しずつステージから慣らしていってほしいと願うほかなかった。そしてそれをある意味口実として、以降彼女の動向をあまりチェックしなくなった。まだ握手会に出して良い精神状態ではないと思ったものの当然僕には何もできないので、せっかく復帰したのにまた握手会でやられてしまいそうなのが怖くて見ていられなかったというのが本音だろう。ただ『100%SKE48』などを読んでいると、「復帰したからにはがんばりたい」「まだSKEでやりたいことがある」など前向きな発言をしていたのでどこか救われた感はあった。しかしながらそれを完全に受け止められないところもあった。とにかく僕は卒業発表が怖かったのだ。忘れもしない2019年2月12日(火)。あの重苦しい雰囲気はできることなら味わいたくない。生誕祭で卒業発表というのはファンを前にして発表できる良い点ももちろんあるし、推しの卒業発表を生で聴けて良かったと最終的にはなるかもしれない。それでもきついものがあるのは事実である。そこで1月に入ってからはブログなどこまめにチェックするようにしており、おそらく卒業発表はないと踏んでいたので応募する方向でいたが、直近に松井玲奈さんと会われていたことは不安要素として十分すぎた。でもこれをSNSで知ったときにはすでに当選の通知が来ていたので、覚悟のようなものも持ち合わせて名古屋へ向かうことにした。

 さてご存知のとおり上記のような心配は杞憂に終わった。しかしこの心配というのも、生誕スピーチが終わるまでビクビクしていたという感じではなく、彼女の笑顔いっぱいのパフォーマンスを1曲目に観た瞬間から安心していた部分はあった。劇場公演なんて暗い気持ちで観るもんじゃないぞとE公演が教えてくれたような気がしたし、まさにそんな頭4曲であった。E公演に入るのは昨年の菅原茉椰生誕祭以来1年ぶりということで、昨年はまだ彼女を推して数ヶ月だったし、何ならSKE自体も復活新規だったのでいわゆるライト層だったが、今回はそれと比べると視座を広く観られたのではないかと思う。主役の菅原茉椰さんはもちろんのこと、この日のシングル披露ではセンターを務めた浅井裕華さん、後方からでも存在感を発揮していた井田玲音名さん、客席を見て適宜遊んでくれる佐藤佳穂さんや深井ねがいさん、先輩に物怖じせずMCをぶっこむ荒野姫楓さん、尊敬する先輩の生誕祭に出演できた田辺美月さん、素敵な手紙を送ってくれた鎌田菜月さんなど、一人一人の話がいくらでもできる。なかでも浅井裕華さんの成長っぷりには驚かされた。パフォーマンス面では一番良かったと思う。てか背伸びた?ちなみに「ソーユートコあるよね?」はめっちゃ楽しい。とりあえずカタンとさとかほとみっちゃんはmu-moポチポチ済。鎌田さん取り忘れたのは痛恨のミス。

 生誕スピーチは何も考えていなかったそうだが、あの場できちんとまとまったスピーチができるのは自分も見習うべきところだと思わされたし、改めてここで「卒業発表はしません!」と言ってくれて本当に救われた。ある意味一度オタクに裏切られているのに、様々な葛藤を乗り越えてもう一度オタクを信じようとしてくれているのだもの、菅原オタは果報者だと切に感じるところである。大きな目標を語っていた裏ではきっと周りの期待に悩んでいたであろう19歳の生誕祭、一からの土台作りに励む決意をした20歳の生誕祭と、2年連続で彼女の生誕祭に入れたことをうれしく思う。オタクとしては卒業でなく休養を選んでくれたことにまず感謝だし、だから戻ってきてくれただけで十分であり、元気でいてくれればそれだけで良いという思いはあるが、それでもやっぱり選抜としてCDジャケットを飾ってほしいし、フロントで、センターで輝く姿を見たいと思ってしまう。だから「選抜に戻る」と彼女のほうから言ってくれたのは頼もしかった。

 最近だと10期も入り、だんだんとガバナンスが6D1に移行し始めてもいる。そんなときこそ7D2からどんどん盛り上げていってほしい思いは一層強くなった。来たる「#7D2に曲を」が叶う日を信じて。