コロナ禍の現場を振り返って

 だんだんと現場が増えていった今日この頃ではあるが、ガースーのせいなのか冬のせいなのかGoToのせいなのか、ここ最近は感染者数も増える一方であり、NGT48劇場は再び新潟県民限定での開催に戻した。ワタクシ(千葉県在住)はというと、10月には大阪城ホールにてNMB48の10周年ライブ・次世代コンサート・吉田朱里卒業コンサートを、11月にはNMB48「告白の空砲」公演を、12月にはNMB48「泉綾乃生誕祭」や櫻坂46のデビューカウントダウンライブ(こちらは無観客であるが、映画館にて中継が行われた)といった現場に赴いてきた。外出自粛のストレスなどもあって現場に行けることそのものはありがたいのだが、やっぱり物足りなさはついて回るものだと思う。声が出せないライブに行く意味はあるのかと思ったりもした。そもそもライブアイドルというのは、アイドルとヲタクが共同作業的に規模を拡大させていくビジネスモデルであり、そこで自然発生的に生まれる数多なコミュニティを俗に「ストーリー」なんて言葉で盛り上げていくものだと思う。すなわち現在は「アイドル×ヲタク」の基盤が成り立っていない状況であって、だったら今は大人しくDMM配信を観て我慢するのがベターなのかもしれない。

 しかしながら、12月16日(水)に観に行ったSKE48 Team E「SKEフェスティバル」公演は、行って良かったと思えるものであった。あらかじめ言っておくとこれは先述したNMB48や櫻坂46を貶す意図では記述していない。そういえば「知らない」と「嫌い」は近い感情だと誰かが言っていたのを思い出した。ということは僕はまだNMBや櫻坂の良さを完全に享受しきれていない、いわば「好き」度が追いついていないということなのだと思うし、それはヲタクの不徳の致すところであるので精進していくところだ。推しメンの卒業に伴い今年の5月以降ずっと「難波誰推し旅」をしてきた手前、このタイミングでSKE劇場に入れてリフレッシュできたという意味でも良かったし、声が出せなくたってアイドルとヲタクが築いてきた基盤はそう簡単に瓦解しないだろうとある意味安心できた部分もあった。それは僕が一番通ってきたSKE劇場だから感じることができたのだと思う。開演前に諸注意を拡声器で述べるあのお兄さんに実家のようなあたたかささえ感じる。今はさらに欲が出てきており、もう一人の推しメンにも会って2020年を締め括りたいと思っているが、確率的にも厳しいだろうし、さすがに自粛ムードに便乗することになるのだと思う。

 さて、公演の話をしよう。受付前に問診票を書いたり、フェイスシールドをしたりといつもと違う作業を経て、決められた席に座った。この時点ですでに泣きそうだった。正直なところモチベーションでいうとNMB寄りであり、SKEは有観客に踏み出すのがNMBより遅かったし、チケセンを採用しなくなって、さらには公演申込がファンクラブ会員限定となって僕のなかでSKEはどこか遠いところにいたが、そんなSKE劇場に帰ってきたぞという思いが溢れていた。あの滑舌で噛みまくりの熊崎晴香さんの影アナを聞いているだけでもう最高な空間だった。ただ申し訳ない、少なくとも頭4曲は茉椰さんしか見えなかった。見渡した感じだと緑サイが私含め2人だったので致死量のレスが飛んでくるのだ。さらに、だ。前列の3人が並んで赤/紫サイ、そして「SUNNY AUGUST」と書かれたTシャツという出で立ちで、この時点で私の知識不足もあり彼らが誰推しなのかはわからなかったが、なんのことはない。間違いなく緑サイを振っている私の方向に「謎に」レスを送り続ける熊さん·····。もう一人の茉椰さん推しの方は私と離れていたので良いが、3人並ばれるとレスは奪い合いとなるのだろう。私はというと、それらを全て私へのレスだと信じて疑っていないのでとても良い気分であった。茉椰さんしか見えなかった頭4曲もきっとレスの嵐だったと推察する。観客が少ないメリットもなくはないな、と(笑)

 別に爆レスがあったからヨイショするわけではないが、熊崎晴香さんのセンターはとても映えることを知った。これまで僕が生で観たことあったのは須田センターと菅原センターの2つだったが、それを踏まえて熊崎センターが好みだった。須田さんは先頭に立って背中で見せるセンター、茉椰さんは足元固めて全員が引き立つセンターだと思っていて、熊さんはその両方の道を行っているのだけどそこにオリジナリティとしてメンバーとのアイコンタクトの上手さがあると思った。これでもかってくらいに全員と絡みに行ってそこに鎌田さんやどんちゃんが乗っかって行ってひとつの場が生まれていくその過程の作り方が彼女は抜群に上手かったのだ。おそらく支配人譲りなのだろうと思ったりしたが、これは6期生という絶妙なポジションにいる彼女だからなし得る業でもあるのだ。6期生ゼロポジにてたしか彼女は「Eの顔にならなきゃな」なんて言っていたが、今は間違いなくそこに達していると思った。個人的には次作シングルセンターの最有力だと思っている。きっと彼女とて何年も虎視淡々と睨みをきかせている場所だろう。

 今年の茉椰さんの生誕祭のお見送りで遊んでくれたさとかほの握手券を公演後にポチった“あの”感覚で熊さんの握手券を今すぐにでもポチりたい。どうやら劇場公演は“静かに”ぶち上がることができるが、こればっかりはどうにもならない。無念。