2月の狂気[#1]

  個人的に1月は毎年慌ただしいため、その解放感からか、2月になってからは狂ったようにチケプラ・チケセン・チケショのボタンを押していた。いま、こう書いていて、チケットの申込サイトが統一されていた頃を懐かしく思えてきた。昔は安易な「分断」には反対の立場であったが、そんな僕もSKE48を追うのが手一杯な昨今である。昨夏に大阪を訪れたが、とうとうNMB48劇場を素通りしてマンゲキに足を運び、そのあとは京セラドームで野球を観るほどのモチベーションなのであった(筆者はお笑いファンでもありオリファンでもある)。

 ある意味そんな自分を打開しようとした2月なのかもしれないが、思い返すと昨年11月に高雄さやかさんの写真集お渡し会に行ったあたりから、実は現場をひそかに求めていたのではないかと思えてきた。ここ最近は推しの生誕祭に入れればそれで良しと思っていたので、あまり追えていないSTU48のメンバー目当てにイベントに赴くことも、誘われたとはいえ、同じく昨年11月にチームEの通常公演に行ったことも最近の自分からすると「珍しい」のだ。すると、「多忙な 1月からの解放感」は「『11月から発生していたであろう現場欲』がついに爆発した」と捉えることもできるのではないか。今回はそれを「2月の狂気」と題して、何回かに分けて綴っていこうという企画である。

  まずは1月30日(2月(−1)日)、SKE48 チームKⅡ「時間がない」公演に同伴で入れていただいた。いつもの彼である。この20日前に推しである菅原茉椰さんの生誕祭に参戦し、お財布の潤いがなくなっていた頃に誘っていただいたため、行きたい旨と同時にそれも相談した結果、車を出していただくことになり、交代で運転しながら名古屋を目指した。車内で公演の座席を確認すると、H列であった。前回がA列だからこそ贅沢な物足りなさを覚えたりしたものだが、幸い下手ブロックだったので、太田彩夏推しにはありがたかった。これまで初日公演と太田彩夏生誕祭の2回この公演に入ったが、前者は上手ブロック、後者はセンターブロックであり、初日の時点で太田彩夏推しは絶対に下手側が良いと思っていたので、ついに下手側で観られるよろこびはあった。

 無事ホテルにチェックインし、機械式駐車場に車を停めた後で車内に財布を置いていたことに気づくアクシデントに見舞われつつ、まずは「名古屋ラーメンまつり」に向かった。2019年にここで食べた「イロドリ」のラーメンが忘れられない。今回食べたのは「一番いちばん」さんの塩ラーメン。タイトルは「フランス三大地鶏 プレノワールと伊勢海老の塩ラーメン」ということで、あっさりした味わいと細麺による喉越しがとても心地良かった。

 腹ごしらえも済んだところで劇場へ。相棒は初のKⅡ公演だということで、どういう感想を持つのかという面で楽しみであった。にしても、僕が誘うならまだわかるが、Eオタの彼にKⅡ公演に誘われる日がくるとはなんともおもしろい。誰か「発見」できただろうか。今度聞いてみよう。

 そしてやはり下手側は太田彩夏推しにはとても良い。ひとつ前の列に何やら強そうなあやめろオタがいらっしゃったため、レスのおこぼれを幾度となく頂戴した。「異形のダンス」で横一列になったときなんて、真ん前じゃないか。A列だったらたまらんだろう。さとかほに殺されたときを思い出した。

 今回は11期研究生から篠原京香さんと森本くるみさん、さらにはチームEから林美澪さんが助っ人として出演していた。研究生のアンダーは、同一人物をさまざまな演目で観られるという点で楽しい。研究生による「制服の芽」公演が始まったこともあり、研究生を始めるなら今だと思う。特に11期はいつ昇格してもおかしくない時期なのではないか。一方で正規メンバーのスクランブルは、ユニットにも高確率で参加してくれるのでこれまた希少価値がある。これを書いている時点ではるーちゃんの「転生」やあゆかぴょんの「アップル」が拝めた日も存在するが、今回の美澪ちゃんの「プレシャス」はそれに勝るとも劣らない瞬間だった。

 それでもこの日に目を引いたのは、「ハートブレイカーズ」での岡本彩夏さんだった。無表情の不気味さは、なんというか、怖ささえあった。優月がいなくなった「プレシャス」だって、彼女なりのセンターを表現していたと思う。このセットリストは当て書きの要素が多分にあるだけに(「誠実は美しい」-江籠/「top」-荒井/「繋ぐ」-太田青木)、オリジナルメンバーがすでに何名か卒業している現在は、今のKⅡメンバー、あるいはその日の16人で新しい公演を作(創)っていってほしい。この日江籠さんのポジションにいた中野愛理さんだって、彼女なりの「誠実」さだったり「転生」っぷりを魅せてくれた。納得の選抜入りである。

 終演後は山ちゃんで感想戦を繰り広げたのち、宿へと戻り、トーク会をポチった。自分はこの段階では菅原・太田・佐藤・岡本・浅井・末永という単推しメンツであった。どうせ再販で増えると思われる。彼はというと公演での水野愛理さんの歌の上手さについて語っておられたので、もしかしたらKⅡにも進出なさる未来はあるかもしれない。

 

つづく